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ゆめであえる

韓国映画「未成年」

韓国映画「未成年」を見た。

同じ高校に通うジュリの母とユナの父が不倫関係で妊娠した。

ジュリの母はジュリを高校生の時に出産し食堂で働くシングルマザー
ユナの父は企業に勤める会社員、母は専業主婦。

ユナの母はジュリの母が働く食堂へ行き
夫の浮気相手が妊娠している事を知る。

何も言わずに帰ろうとするが笑顔で呼び止められ
軽く押しただけのつもりがジュリの母は転倒
未熟児の状態で緊急出産し乳児はNICUに入る。

ジュリの母の入院費をユナの母が「叔母」と名乗り払うが
ジュリが直接ユナの母へ現金で返金する。

ユナの母の目を真直ぐ見て
怒るわけでも悲しむでもなく
制服姿の少女は背筋を伸ばし穏やかにはっきりと言う。

「足りない分は後で私がバイトして返します。
ユナに渡せばいいですね?
5万ウォン(約5千円)、必ずユナに確認して下さい」

未熟児の状態で産まれた乳児の出生届を出さないジュリの母に代わりに
届けを出そうとするがジュリは未成年のため届けを提出出来ない。

病院へ行き、母へその事を伝えると
母は「なんで私が全部しなきゃいけないのよ!」と泣き取り乱す。

一緒に暮らさず長く会っていない父親へ連絡を取り、事情を話すジュリ。
久しぶりに会った父親は
「いやぁ、お前すっかり大人だな。
俺の替わりにカード申し込んでくれよ」

「金、金か。お前もどんどん母親に似るな。
俺はそんなのないよ」
と言い逃げるように去った。

ジュリの母親が出産したと解った後帰宅した夫をやつれた顔で見るユナの母。
「欲か、愛か」
「両方か」
おどおどと言い訳の言葉を繰り返すしかしない夫。

NICUの乳児に会いに通う高校生ふたり。
大人たちは会いにいっているのか。

「あんなお父ちゃんやお母ちゃんより、ずっと私の方が資格ある」
「うちのお母ちゃんは高校生で私を産んで育てた。私にだって出来る」
乳児用の靴下を揃えてそう話すジュリの顔は嬉しそうに輝いていた。

「私の弟だ。私が育てる」

ある日乳児はNICUを去る。
泣くジュリに替わってユナは乳児の入った木箱を業者から受け取る。

乳児がいなくなった後
ユナの母がジュリの母の病室をお粥を持って訪れる。

「あの人は結局ここには来なかった。
もう全て終わったのよ。
私にお粥を食べさせに来たの?」

「他に行く所がないから来ました」
泣いているのはユナの母だけだった。

「家庭がある人と知って始めたんですか?」
「知ってたわ」
「知っていて、何処まで行こうとしたの」
「恋をした事があれば解るでしょう。
そういう風にはならないんだ」

ジュリの母が着る寝間着の胸が母乳で濡れていた。

退院したジュリの母は暗い台所でひとりラーメンを食べる。
ジュリが向かいに座る。
母の頭には白髪が見える。
ジュリを出産したのが高校生なら、今の年齢はまだ若い。
出産した高校生に出来る仕事がどれだけあるだろう。
そんな彼女の半生と、ジュリの人生が重る美しい場面だった。

ジュリの母とユナの父が嬉しそうに一緒に笑う写真に写る観覧車の前で
乳児の骨を牛乳に入れて楽しそうに飲む高校生ふたり。

人間は
なにを定義に
なにをきっかけに
大人になるんだろう。

ジュリとユナくらいの年齢だった頃に
「おとな」と考えていた年齢に自分がなってだいぶ時間が過ぎた。

そんな事を考えて
当時見えていた「おとな」と
今見える「おとな」
をぼんやりと思い出し

「あぁ私、優しくなったかも」
と短く言い
すぐに忘れた。

by c-u-in-dreem | 2019-09-12 20:29 | 映画

美術館、ミュージカルの記録。

by c-u-in-dream
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