2020年 06月 05日
戦後復興の芝公園と霜降りタン塩
最近芝公園によく行っていまして。
立派で重厚な増上寺も凄いが
横にある東照宮が最近心の拠り所みたいになっている。
少し前から何かにつけて来ていたけど、近くにいる今はこの機会を利用し通っている。
そういえば芝公園は終戦後平和を祈って造られた公園だったなと思い出した。
東京タワーが作られたのは戦後復興に国が湧いていた頃だし
東京オリンピックと併せて国が戦争の傷を過去へと送る過程だったと聞いた。
戦後復興よりもバブル経済の方が身近な私は実感が薄いが
この辺りは空襲があった場所。
教科書で読んだ空襲は、建てなおされ塗装の新しい増上寺や東京タワー
東照宮に書かれた「世界に平和が訪れますように」の言葉で現実感が生まれた。
東京郊外でバブル期を過ごした私の周りに空襲の話をする人はいなかった。
それでもたまに年上の人が「うちの辺りは焼けてるから」と話に挟んだのを思い出した。
関西にいた頃、歴史的建築物と言えば1500年以上前がゴロゴロしていたので
「東京は江戸以降栄えたからせいぜい古くて江戸初期だ。東京は歴史浅いな〜」
なんて言ってたけど、東京都心は途中戦火で焼けてたのを忘れていた。
今は再開発されて日本で一番高い地域になった港区だけど、ほんの数十年前は全く違う姿をしていた。
私が住む東京郊外の小さな街も、数十年前に引っ越した頃からベッドタウンブームで地価が上がり、高齢化でまた下がりを経た。
増上寺の鐘に書かれた文面を見て、焼かれたり再建されたり移動されたりしながら数百年を過ごした鐘の重みを感じながら
なんとなく現在のはかなさや
毎日追われる諸々の事のちっぽけさを感じていた。
移り変わらないものなんてないんだなぁって思ったら
私が悩んでる事なんてちっさいちっさい。
☆☆☆
なんて事を芝公園で感じた後は恒例の今日何食べようのお時間です。
最近特別にヒットしたのが焼肉タン塩と鰻です。
次点に蕎麦が来ます。
このタン塩は人生最高のタン塩に違いない美味しさで
噂に聞いた肉より旨いタン塩でした。
まず登場時のビジュアルがそこらのタン塩じゃない。
霜降りタン塩ですよ。
タン塩なのに真っ赤な赤身に白い脂の筋が細く幾十にも走り
焼く前なのにしっとりと脂と滲んだ血が皿を濡らしている。
大きさもそこらのタン塩と比べちゃいけない。
そこらのタン塩がコースターならこのタン塩は座布団です。
片面を軽く炙って半生で食べるのがタン塩なのに
座布団サイズだから半生焼けタイミングが違う。
厚さももちろん違うから普段のようにかる〜くひょいっと炙ってもー終わり〜みたいにはいきません。
でも半生タン塩はどうしても外せない。
焼き過ぎだけは避けなければならない。
タイミングが掴めないので火から離れた場所に置きじっくりと見詰めていると
ジワジワと霜降りの脂が溶けて赤身がぷっくりと盛り上がる。
これは紛いなき霜降り肉の焼け方ですよ。
しかし、タン塩なんですね。
だからコリッコリなんです。
でも霜降りだから脂がじゅわ。
レモン汁を付けた霜降りタン塩はその前に食べたカルビ一皿の脂を洗い流し
まさにデザートでした。
もちろんその後アイスも食べたけど、肉の食後に肉のデザートって良いなと知ったカルビとタン塩でした。
なんて事を後日思い出しながら書くだけで幸せが蘇るカルビとタン塩。
色々な時代を経験した港区で、それを静かに見つめる増上寺の鐘とタン塩。
今の時代に人間に生まれて良かったなぁって瞬間ですね。
この焼肉タン塩の後、次の日夜までお腹が張りサラダしか食べれませんでした。
このタン塩に劣らない鰻もいますが、それは次の機会に思い出し妄想します。
いつも通り食欲に負けタン塩の写真はなし。
寺の写真は撮れるけどご飯の写真は難しいですね。